嘔吐下痢症や熱中症時の脱水予防

 嘔吐や下痢の時、熱中症などの水分補給には、イオン飲料(スポーツドリンク)、果汁などよりも、経口補水液(発売されているものはOS-1など)が、もっとも良いといわれています。この経口補水液は、スポーツドリンクと比べ、糖分は低め、塩分は少し濃いめにWHOの基準に準じて設定してあります。
 糖分が高いと腸からの吸収に負担がかかるため、水分が吸収されにくくなりますし、失われた塩分を補給するために通常の飲料より少し塩からくしてあります。水分だけでは、水中毒という体に塩分が足らない状況をおこしてしまいますので、水分だけの補給は好ましくありません。
 吐き気が強い時は、最初は5mlぐらいから数分毎に時間をかけて少しずつ飲んでください。嘔吐や下痢がひどい時には、点滴をしなくてはいけないと思っている方もおられるでしょうが、重症の脱水以外はこの補水液を使った治療が近年推奨されています。少し重症で、点滴をする場合は、時間をかけてゆっくり行わないと、すぐに尿で出てしまい脱水は改善されませんので、注意が必要です。
 熱中症の予防のため飲む時は、のどが乾いてがぶがぶ飲むのはいけません。のどが乾かないうちから、少しずつ頻回に飲むようにしてください。こうすることで、疲れにくくなる利点もあります。
●自宅で経口補水液を作る方法   ( )はOS-1の場合
 水500mlを空のペットボトルなどの容器に入れ、食塩小さじ1/2(1/3)杯、砂糖大さじ1(2)杯を入れ、振ってよくかき混ぜると簡単に作れます。レモンを一絞り加えると清涼感も得られます。夏の野外活動のどの時にもぜひ用意してください。
 スポーツドリンク500mlを水500mlで半分に薄め、ちょっと塩味がするかなという程度に、一つまみの塩を入れかき混ぜても、似たものが作れます。


熱中症対策にNGな飲み物(水分が逆効果!?)と対応

 夏になると、水分補給に選ぶものに気を付けないと逆に脱水症状になる可能性が高まり要注意です。特にここ数年、暑さに湿度が異常に高くなってきております。汗をかいても、ベターとして、汗が蒸発しませんので、体温が上昇して熱中症になりやすくなります。汗は、タオルなどで拭いてください。症状はだるさ以外に多彩で、症状が出る前に少しずつ飲んでおくのが大切です。

● 運動中は特に熱中症に注意!
 汗をかくことが多くなると、体に必要な水分量も増えます。運動していると、発汗による水分、塩分の排出が増えます。

 熱中症対策のカナメ!水分補給にNGな飲み物は?
 水分補給は熱中症対策に欠かせませんが、飲み物として向かないものがいくつかあります。


(1) 
カフェインを多く含むもの
 コーヒー、緑茶、ウーロン茶、紅茶、栄養ドリンク、コーラ飲料などにはカフェインが多く含まれています。カフェインには利尿作用があるため、飲んだ分以上の水分が体から出ていってしまいます。
(2) アルコール
 アルコールもカフェイン同様、利尿作用があり、例えばビール1本飲むと1.1本分が尿となってしまうといわれています。
(3) 糖質の多い飲み物
 ジュースやスポーツドリンクなどの砂糖入りの飲み物は、体に余計な負荷をかけますので、多飲には注意しましょう。

● 熱中症対策におすすめの飲み物は?

 水、麦茶などのノンカフェイン飲料を意識してとるようにしましょう。運動や外回りでたくさんの汗をかいたときは、糖分が少なめなスポーツドリンクや経口補水液などで塩分やミネラルも一緒に補うようにしてください。また、高血圧や心不全で塩分制限を指導されている方も、猛暑では少し多めの塩分を取ってください。
2019年夏
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